ブッシュフードとオーストラリア料理


『ブッシュフード』とは、カンガルーをはじめとするオーストラリア大陸固有の野生動物、天然ハーブ、野菜、魚介類を使ったアボリジニ特有の食文化のことです。

アボリジニヤムイモ

【ヤムイモを掘り起こしているアボリジニ女性の写真/出典:Vic Cherikoff. The Bushfood Handbook-Page 134. Published 1989 by Ti Tree Press】

そのブッシュフードが、世界各地のレストランで修業を積んだオーストラリアのシェフたちの努力により、温故知新の新しいグルメとして現代に蘇りました。1985年ごろからオーストラリアではブッシュフードの価値が見直され、現在では五つ星クラスのホテル、高級レストランでブッシュフード素材が大陸独自の味として使われています。

日経新聞150525

【日本経済新聞.平成27年5月24日掲載】

その中でもルーミート料理は肉質の良さ、低脂肪、低コレステロール、高タンパクというヘルシーな要素に加え、洗練されたレシピによる、料理として完成度の高さが多くのグルメを魅了しています。また、チャレンジ精神旺盛なシェフたちにより、アングロオーストラリアン、フレンチ、イタリアン、和食、中華、アジアンテイストなどの融合をはたし、オーストラリアを代表する伝統料理としての地位を築きつつあります。

Dining Downunder

【オーストラリアのレストラン、『Albert’s Lakeside Restaurant』のカンガルーランプを使った料理写真/出典:Vic Cherikoff – Benjamin Christie.Dining Downunder-Page 83. Dining Downunder Pty Ltd.】

こういった動きから、長い間否定されてきたアボリジニの文化がオーストラリア国内の白人社会、諸外国の学者、文化人、芸術家、そしてビジネスマンから評価されはじめています。音楽ではオーストラリア国内のライブハウスを中心に、新・旧アボリジニミュージックのライブが行われたり、アボリジニアートの展示会などが行われています。

アボリジニアート

【アボリジニアート。作品・作者『Snake and Clay Pan at Mt. Wedge: Ginger Tjakamarra and Barney Daniels Tjungurrayi』/出典:Vic Cherikoff. The Bushfood Handbook-Page 26. Published 1989 by Ti Tree Press】

日本でも、アボリジニの伝統的な楽器、ディジュリドゥと津軽三味線をコラボさせたバンドによるアボリジニミュージックや百貨店におけるアボリジニアート展などで一部広がりを見せています。