アボリジニとオーストラリア人の食生活#2


前回の記事では、アボリジニとオーストラリア人の食生活には直接な相関関係が無いと述べました。

それでは、なぜ近年になり、急にアボリジニの食事スタイルがオーストラリアで見直されたのでしょうか?やはり、オデア博士の論文が大きな影響だったようです。

メルボルン大学(当時)のオデア博士は、アボリジニの食生活について彼女の専門的な立場から興味を持ち、様々な角度から実験・観察を続けています。彼女がアボリジニの食生活に興味を持った理由として次のポイントをあげています。

1.都市部に居住しているアボリジニの間に俗に言われている生活習慣病(糖尿病、肥満、動脈硬化など)患者が増加している。

2.伝統的な生活を送っているアボリジニにはそういった病気が見当たらない。

3.その原因として生活様式の違いがあげられるのではないか?

4.特に食生活が大きな原因ではないか?

この論文が学会で発表されることによって、アボリジニの生活様式あるいは食生活に光をあて、原始的な知恵を学ぼうとする動きがやっと近年になっておこってきたようです。これは、西洋の科学技術一辺倒の生活様式をもう一度みつめなおし、原始的な生活を科学的に分析しその知恵を理解しようという現象のようにとれます。