カンガルーの捕獲状況
【フクロオオカミ(タスマニアタイガー)の写真。出典:ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/フクロオオカミ】
フクロオオカミがオーストラリアで絶滅してしまった現在では、大型獣であるカンガルーの天敵はほとんどいないといっても過言ではありません。野生犬のディンゴは今でもカンガルーを狙いますが、現地人は家畜を襲うディンゴを見るとすぐに撃ってしまうので、本当の意味でのカンガルーの天敵とはなりえません。
天敵がおらず、家畜のための広大な牧草地がつくられていることはカンガルーにとって、その増殖を高めるには十分すぎる条件が整っています。
【カンガルーの群れ。出典:https://www.steveparish-natureconnect.com.au/nature-centre/kangaroos-and-wallabies-the-nations-icons/】
このような環境下で増殖したカンガルーは、オーストラリアの畜産業に大きな影響を与えているだけでなく、自然環境のバランスを大きく崩してしまう危険性もあります。
こうした問題を解決するためにオーストラリア政府は、毎年カンガルーの数を調査し、その数が多すぎるときには捕獲枠を設定し商業的に間引きをおこないます。
カンガルーを可愛がっているのか、食うために増やしてるのか、なんか納得出来ません。
貴重なご意見をありがとうございます。
また、コメントに対する返信が遅くなり申し訳ございません。
ごもっともな疑問だと思います。
まず、『カンガルーは食うためにふやしてるのか』という疑問についてです。
結論から言うと、意図的に頭数を増やしているわけではありません。
カンガルーが増えた大きな原因は、天敵がいなくなったこと、牛や羊など畜産を育てるための牧草と灌漑施設(餌と水にありつける)によるものです。
増加傾向である大型のカンガルーが5種が増えすぎてしまうと、残りの小型カンガルー(約50数種類)の生存が危機的状況に陥ってしまいます。
そのため、増えすぎてしまった大型5種を捕獲し商業的に流通させています。
つづいて『カンガルーを可愛がっているのか』というご質問です。
カンガルーはオーストラリア大陸固有の動物ということもあって、国のシンボルマークにもなっている動物です。オーストラリアの農家にとってみれば「害獣」ですが、オーストラリア一般でいえば親しみのある動物だと言えると思います。
(大型のカンガルーは人を襲うこともあるので、野生のカンガルーには誰も近寄りませんが。。)
だからこそ、増えすぎてしまったカンガルーを捕獲し、商業的に流通させることで野生カンガルー全般を保護しているとも言えます。
餌がなくなってしまえば、増えすぎたカンガルーが餓死してしまうし、小型のカンガルーが危機的状況になってしまうからです。